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2009/04/25  ワカゲノイタリ

はじめまして加藤です。
今日から世間の皆様はGWということで色々な計画を立てられていることでしょう。計画といえば、まるで無計画な草薙剛さんに敬意を表し、私の酒の失敗談をご披露させていただきます。
さかのぼること30年(当時きかん坊の17歳。はじける17歳ともいう)親の目を盗み、友達の家で泊まりで勉強するというミエミエのいいわけをしながら、良心の呵責なんぞをチラッと胸の奥の方に仕舞い込んで、友達と落ち合うやいなや酒屋に直行です。ドキドキと胸を高鳴らせ酒屋の前に立ち尽くす私と悪友3人。さあ誰が酒を買ってくるか。思わず4人は顔を見合わせます。誰もが「お前が行け。お前が行け」ってな眼差しで自分以外を見回します。・・・で、やめときゃいいのに17年も培った性格は、おいそれとは変えることは出来ません。「よし。俺が行く。」と言ってしまった後の悪友3人の安堵の表情が、今でも恨めしく心に刻まれています。背中に変な意味で熱い視線を受けて酒屋のドアに果敢にアタックです。アタックなんて申しておりますが、なんちゅことないタダの自動ドアでありまして、悪事を働こうなんて思うが先か、私の前頭葉の海馬はパニックに陥り、ドアが開いたとたん酒屋のオヤジと目線がガチンコです。「あ、あのう、親にに頼まれて」誰に、何の為に、そんないいわけをして店のドアを開ける客がいますでしょう。酒屋にはコカコーラもペプシコーラもキリンレモンもあるのに・・・・。もう自分で自分をコントロールできない状況です。今ふうに言うならば、そりゃもう草薙状態です。後ろを振り返ると悪友3人は電柱の陰なんぞに隠れて高みの見物をし、
あらぬことか「ハヤク、ハヤク」なんて無責任な口パクで私を扇動します。この時ばかりは普段上品な私もニューハーフが一瞬、男を見せるときのように「てめえらコロシテヤル」と心で叫んだものです。
想えば私の度胸は、この時開花したのだと思います。入り口のかごを手に取り、意味のない口笛で自分を勇気づけ、おもむろに缶ビール5、6本と一升瓶をかごに入れ、涼しい顔をこさえてレジカウンターに歩を進めます。まるで万引きでもしているような素早さは、ある種、私の才能なのかもしれません。
酒屋のオヤジは終始、事務的な顔をして、見ざる言わざる聞かざる状態でありました。想えば年齢認証だか、タスポだか、知りませんが、そんな七面どくさいことのない古きよき昭和時代でありました。

私がいかにも勝ち誇った顔をして酒屋を出たのは言うまでもありません。・・・と、ここまでは計画通りに
事は運んだのでございます。悪友3人の中でお金持ちのせがれ、杉山の家に泊まる手はずは整っておりました。杉山の家は敷地内に、別棟の子供部屋があり、杉山は呪文のように二言目には「ウチの
ハナレで。ウチのハナレで。」と鼻持ちならない言葉をわざとらしく言う奴でした。我々が酒を買って、
意気揚々とハナレに到着すると、盆と正月とクリスマスが一緒に来たようなご馳走が、杉山家の沽券を
かけた杉山の母によってテーブルを埋め尽くしておりました。やれ、フォアグラだのキャビアだのと言われましても、当時の私にとりましては、なんのこっちゃ?でありまして。鳥の唐揚げが一番うまかったのをよく覚えております。

さていよいよ宴会の始まりでございます。我々4人は手始めにビールで乾杯をし、いかにも俺は酒に強いんだオーラを各々出しつつ、恥の上塗りてぇのがございますが、見栄の上塗りを何枚も重ねて、一気、一気と日本酒をあおり続けました。ここで初めて寅さんの言うことが身にしみたのであります。あぁ
男はつれえなぁ!単細胞ほど、くだらない事に命を燃やすものです。人間、老いていくと赤ちゃんに還ると申しますが、呑み始めて2時間も過ぎますとヒトは赤ちゃんに還るのです。突然泣き出す奴、ゴミ箱におしっこをする奴、意味不明な言葉を発し続ける奴。そして、ハダカになる奴。・・・しかし総じて皆シアワセそうであります。

シアワセな時間などそう永くは続かないのも、これまた人生。杉山の親父が宴会場のハナレに乱入、
私たち4人を文字通り、反吐が出る程叩きまわしたのであります。それでも、杉山なんぞ終始ヘラヘラと意味不明なざれごとを発し続けるあたり、正真正銘の馬鹿なのか、はたまた杉山コンツェルン2代目の異名なのか、まさにあっぱれでありました。

私は見栄も外聞も、おまけに服もかなぐり捨てて杉山の親父に言ってやりました。

ハダカで何が悪い!


不動産部  加藤一史

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