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2009/06/06  親ノココロ 子シラズ

芸事は6歳になる6月6日に始めますと実を結ぶと言われますが、本日、6月6日は小学5年になる愚息の運動会であります。勉強はさておき、駆けっこだけは自信のある息子にとって、年に1度の晴れ舞台なのであります。私のDNAが脈々と全身を駆け巡るせいか、例年「リレーの選手に選ばれたよ!!」と私に報告する、その勝ち誇った眼は、かつて私自身が親父に見せた眼と全く同じ眼をしているのであります。

ところが・・・、今年は前夜になっても運動会の話題は息子から一言も語られず、口を開いたかと思えば、セ・パ交流戦がなんちゃらとか、明日雨降んないかなあとか、息子なりに遠くを迷走している様子。それを感じて私も女房もあえて運動会には触れません。そんな息子の言動からリレーの選手になれなかったのは明白でありました。分かり易いのも私のDNAのせいでありましょう。息子なりに気を使い、明るく振舞えば振舞う程、私も女房も切ない気持ちになるのでありました。

極めてローテンションで迎えた運動会当日の朝、「行ってきます」の代わりに、「100M走、たぶん1番は無理」と言って学校へと向かう息子は、すっかり自身の削げ落ちた落ち武者のようでありました。
私はと言うと、定番の場所取りであります。一昨年あたりからルール改正により8時前の場所取りは無くなりましたが、それまでは早朝6時には学校に行って、より観戦し易い場所を確保するのが私の役目でありました。例年、運動会といえば人足をし、カメラマンをし、おまけに日焼けまでして、感動の代償は2日後の筋肉痛となって現れるのが常でございます。しかし老体に鞭打ってでも、子供たちの輝いた姿を見れるということは、私にとりまして、シアワセを実感する絶好のチャンスなのであります。

息子の公約通り、100M走はトップを走るも、ゴール寸前でかわされ2着。それも私のDNAのせいでしょう。いつも寸でのところで垂れる私を観ているようでありました。そんな流れですから、当然クライマックスの高学年リレーには現れず、あろうことか体育委員か何か知りませんが、ロートル先生と一緒にトラックの内側で旗を持ってニコニコ顔で自分が出るはずのリレーを観戦しておりました。
ノウテンキなのか、はたまた悔しさを内に秘めて作り笑いを浮かべているのか?DNAからするとおそらく後者でありましょう。

息子よ!!その悔しさが人間をでかくするんだぞ。

あまりにも私に似ているので、チクチクと胸が痛むのは親である私の方であります。
その日の夕食、神妙な面持ちの息子。色々と言葉を探しているようであります。真っ赤に日焼けした顔が凛々しく見えるのも親バカの親バカたる由縁であります。
こんな時、威厳のある親なら掛けてやる言葉のひとつやふたつ常備しているのでしょうが、そんな器があったらもっと出世してるわけで、昼間の息子同様、困った時はニコニコと笑顔を作ることぐらいしか知恵はございません。家族でピザを頬張りながら、「今日のことは無かったことにしよう」、みたいな空気がテーブルを支配し、またしても芸の無い親子はセ・パ交流戦の話に逃げ込むのでありました。

息子の名誉のために一言申しておきますと、あのキラキラと輝いた精一杯の姿を観れただけで、バカ親としましては、十二分に感動した次第であります。ウルウル。
ひとつだけ無念と言えば、1歳の誕生日に、餅を背負わせ歩かせると元気な子に育つと聞いたもので実行致しますと、我が愚息、1歩も歩けず撃沈して顔を上げますとニコニコと微笑み返しであります。

ああ・・・、育て方間違ったのかなあ?はたまた、6歳の6月6日に芸事を教えておけば・・・・。


不動産部    加藤 一史



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