小心者
3週間程前になりますが、ある物を買いに女房とカインズホームに行ったのでありますが、そのある物が、ひとつ1000円近くするので、結局協議の結果、買わずに帰って来たのであります。
それでも私は諦めきれずカーマやエンチョーといったホームセンターで、事あるごとに見て回ったのでありますが、売り切れだったり、やはり1000円ぐらいしていたので買わず仕舞いでありました。そもそも夫婦揃って根性なしでありますので、何かを買うにも何軒かお店を回り、一番安く、自分たちが納得しないと買えない性格なのであります。
結局、1週間前にヤフオクで見つけて1個210円の物を3個購入したのであります。・・・で、そのある物とは、本日の主役、「日食グラス」であります。今日のために1ヶ月程前から右往左往した割には、ネットショッピングで定形外郵便で送られてくるあたりが、自分でも情けない次第であります。
しかし、これにもいわくがございまして、私は4個買うつもりでありましたが、「1回しか使わないんだから!」と女房は3個でいいじゃないと言います。ウチは家族4人でありますので、4分程の天体ショーを1秒でも逃してはならないと、ひとり1個を主張しましたが、結局却下。たった210円の攻防にもあっさり敗退なのであります。
そんなわけでありますから、私は今日の金環日食を結構楽しみにしておりました。なにしろ、50年生きておりますが、そんな現象を勿論見たことはございません。今日を逃せば一生見ることはございません。・・・そう思いますと、なにやらロマンのようなものを感ぜずにいられないのであります。
ところが、私以外の家族は、朝からテレビで日食日食と大騒ぎしているにも拘わらず、女房は洗濯、高1の娘はドライヤー片手にヘアーセット、中2の息子はテスト勉強と、日食より朝食の方が大事とばかりに、朝の支度に余念がございません。
しかも、7時丁度の時点で、我が家の上空には分厚い雲が立ち込め、ひと雨来そうなぐらい、空は雲に被われておりました。その時は「女房の言うことを聞いて3個にしておいてよかった。」と、正直思いましたが、テレビ中継では白川公園で太陽が見えている状況を確認し、消えかけたテンションが再び上がるのでありました。
思い起こせば長い1ヶ月でありました。メガネひとつで夫婦喧嘩をし、当日を迎えましても、私以外は極めてローテンションであります。もし・・・これで太陽が出なければ・・・?そんなネガティブを考えたその時であります。
周りの雲がまるで太陽をよける様に、神々しい光を放ったのであります。それは綺麗にリングに見える5分程前であります。
「見えた!」私が思わず発しますと、いいとこ取りの女房以下3人は日食グラスの取り合いをしつつ、「凄い!凄い!」の大合唱でありました。気付けば、あちこちでご近所さんがメガネ片手に空を眺めておりました。
900数十年ぶりに名古屋では見れたということで、感慨深くはありましたが、ずっと太陽を直視していたわけでもなく、ご近所さんを観察したり、ペットたちを観察したり、風景がどう変わるか観察したりで、結局のところ・・・・・
「2個でよかったな?」・・・という結論を出す小心者夫婦でありました。
不動産部 加藤一史