住宅金融支援機構
毎回のように与太話を書き連ねて参りましたが、今日こそは、私が本当は、いや実は不動産屋だという証のようなお話しをひとつ・・・・。
皆様が住宅を購入されるにあたって、よっぽど裕福か、はたまた親御さんの援助でもない限り、ローンを組まれると思いますが、昭和時代に住宅を購入された貴兄、住宅金融公庫で借入されませんでしたか?・・・・・そうです。昭和時代には一番抵当、住宅金融公庫、二番抵当、銀行、よもや三番抵当がございますれば、いわゆるノンバンクという順番に優先順位が付いたものでございます。お上には銀行もひれ伏すしかございません。水は低い所へ流れる、と言ったところでしょうか?
住宅金融公庫は、長期、低金利、固定、この三つを最大の武器に致しまして、他の金融業者を圧倒してきたのでございます。今でこそ35年ローンなんて商品もございますが、そこは昭和時代。25年、30年までが限界でございました。もっとも人間50年と詠われた時代、(信長か?)55歳定年なんて企業も、まだまだ沢山ある時代でございますので、当然といえば当然でございます。日本人の寿命も75歳から85歳に変遷し、長生きする分、働かなくちゃならない。ましてや棲家を考えましたら、丈夫で、心地よく、快適に、なんて思うのが人の常であります。現在は80歳までに完済すれば35年を限界に、何年でも借りられます。従いまして、35年借りるには44歳までに借りれば(1歳繰り上げ計算)あとは馬車馬のように働いて頂きさえすれば、見事ローンを返し終わって5年後には安らかに眠れるというわけであります。
最近の芥川賞に「終の棲家」なんてのがございましたが、衣、食、住、の一翼を担う不動産屋としましては、不遇の昭和時代、一握りのバブリー、且つキンキラ金の同業者によりまして、ヤクザな商売、ブローカーなんぞと後ろ指を差され、辛酸を舐めながら、「今に見ていろ俺だって」こんなCMに勇気づけられながら、なんとか昨今、市民権を得ることが出来たのでございます。
現在、住宅金融公庫は、民営化のうねりの中、住宅金融支援機構と名を変え、(予断ですが私が中学生の頃、WHOを世界保健機構と習いましたが、現在、世界保険機関と言うらしいことをふと思い出しました。まさに、誰が?)名前なんぞ変えたところで、やっていることは殆んど変わらないわけで、結婚して苗字が変わっても、性格までは変わらないことと、似たようなもんでございます。もっとも、結婚した途端に豹変する方もいらしゃいますが・・・。いや、離婚した途端に生気を取り戻すなんてこともあるようですが・・・。
そんなこんなで、フラット35なのであります。フラットは英語で平坦なという意味です。機構が標榜するところの、長期、固定を象徴するネーミングにとりあえず拍手しつつ、私なんかフラットを文章で使う時、「どこそこにふらっと立ち寄る」なんて使い方をしますので、なんだか優柔不断なネーミングだなと思うわけであります。最近ではフラット35Sなんてのも出まして、(ちなみにSはスペシャルだそうです。)向こう10年マイナス1.00%なのであります。各銀行が10年固定を主流にした流れでございます。遅ればせながら、機構も自らの沽券にかけましてスペシャルを放ったわけであります。
ところが思ったほど借り手は現れず、時代の変遷と共に住宅金融支援機構そのものの存在さえ、蓮舫さんあたりに「仕分け」されてしまう日も、そう遠くはないのかもしれません。こんな悪口のようなことばかり書いて参りましたがしかし、はっきり言ってスペシャルはお得です。使わない手はございません。というのが本日の大本題であります。
金融機関によりまして相違しますが、現行2.4%~2.8%ぐらいの金利であります。これを10年間1.00%引こうというのですから、機構の担当者は、清水の舞台からダイビングする気持ちでスペシャルを放ったに違いありません。起死回生、七転八倒、転ばぬ先の杖、色々な見解はございますが、今年一杯(正確には平成23年1月3日まで)まで、スペシャルは続きます。裏を返せばあと半年しかございません。このスペシャルな機会に、どうですか?あなたも「おひとつ?」
但し、さすがに住宅金融支援機構。これこそプライドのなせる技。スペシャルを享受するには、スペシャルな物件でなければならないということで、(決してバブリーな物件でなくても構いません。)既存のフラット35に適応された条件に加え、省エネ、耐震性、バリヤフリー、耐久性、この四点の内、一点以上がクリアされたスペシャル物件でないと借入れすることは出来ません。
住宅金融支援機構より、お借入れになって住宅を買われようと思っておられる貴兄、その点にご留意されませんと、スペシャルを享受出来ませんのでご注意下さい。もっとも、10年、15年前を想えば、夢の3%でしたので、(永らく5%前後を維持しておりましたので。)金融関係者、不動産関係者にとりましては、3%を切るというのは、天変地異のようなものでございまして、100年に1度の大不況ならではの、超ド級スペシャルウルトラCと言っても過言ではございません。(ちなみに当社で販売中の犬山市羽黒の家は、勿論、スペシャル認定であります。)超ドSなんぞと言いますと、なんだか難しい、私の計り知れないジャンルのお話になりますので、またの機会にするとしまして、何故?私が長々と住宅支援機構のまさに支援めいたことを書いたかと申しますと、本日は、1950年6月5日、戦後のドタバタを乗り越え、もはや戦後は終わったと政府は言い放ち、高度成長時代に突入し、バブルで弾け、今では窮鼠猫を噛む、旧住宅金融公庫発足60周年、その日だからなのでございます。
還暦。そう人間で言えば還暦なのでございます。真っ赤なチャンチャンコが象徴するように、大赤字かどうかは存じませんが、韓国に次いで儒教を重んずる日本としましては、敬老という言葉を再認識すると共に、今一度、住宅金融支援機構を見直す時が来ているのではと思うのであります。
そこで私は考えました。ネーミングを変えたらどうかと。色々とアイデアは浮かびます。例えば、田中康夫風に言えば、「なんとなく35」。怠惰な感じが35年の借金を感じさせません。村上龍風に言えば「限りなくゼロに近い35」。低金利時代を強調します。落合恵子風なら「スプーン一杯の35」。究極の低金利。こんなに軽さを感じるネーミングは他に無いかと。皆様もこれだと思うネーミングがございましたら住宅金融支援機構の方へ助言なさってはいかがでしょうか?足蹴にされましても、責任は取りかねますが・・・。
最後にもうひとつ。超ドS級のを・・・、「縛り35」。35年間借金に拘束されますが、恍惚とした充実感を得られること享け合いであります。
不動産部 加藤一史